異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
「今日は保育ルームの先生が風邪で休みでな。代打なんだよ」

「理事長先生が代打ってよくあるんですか?」

他の先生がすることはあるかと思うけど、理事長自らっていうのはあまり聞かないな。

「あるよ。他の先生がいないときは全部私が代わりだ。まぁ、一人休むくらいなら大丈夫なんだが、二人休まれると辛いな……。私の体も一つだから」

ですよねー。
特に小さい子のお世話は大変そう。
前に島の保育園の職場体験に行ったけど、子供達に翻弄されて次の日筋肉痛になったのを覚えてる。

「だから、すまないが、今日はすずな嬢も子供達の世話を頼む。5歳組の3人だ。何、遊んでるだけでいいからな、簡単だろ?」

遊んでるだけ、が、一番ハードなんだよね……
でも、子供も好きだし良かったかも!

「はい、頑張りまーすっ!」

「ああ、頼む。私は少し休憩させてくれ。後でまた来る」

そう言って、御姉様は腰を押さえながら保育ルームを後にした。

さてと……。
子供達は初めてみる私に興味津々のようで、遠巻きに見ながらお互いに押したり引いたりして様子を見ている。
うん、健全な人間関係は挨拶から!!

「おはよう!今日は先生がお休みなので、私が代わりです。ええと……私は桜庭……」

はっ!!違う違う!
本名を名乗るとこだったわ。
ええと、私の名字何だっけな……百沢、百川?……あっれ?
ま、いいか、名前だけで。

「すずなと言います、よろしくね」

というと、子供達は顔を見合わせてクスクスと笑った。
私の見立てによると、真ん中にいる女の子がボスで、両サイドの男の子はきっと子分だ!
子供の頃は女の子の方が強いからね!
しかし、分析までして余裕綽々だった私に、ボスはとんでもない爆弾をぶん投げてきた。
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