異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
しかし、心は正気に戻っても、体はそうではなかった。
舳先の先端に傾いた体は、勢いよく鈴を振った瞬間、大きく傾き前のめりになる。
(セリっ!?)
「セリ!!ダメだ!」
視界は咲夜を捉え、海に傾いて行くに従って今度は奏太を捉えた。
奏太は必死で手を伸ばしている。
その顔を見て、私はなぜかとても嬉しくなった。
無くしたくない、と思ってくれていたのだと。
だけどね、このまま私がいなくなれば、奏太もこの島から……私から自由になれるんだよ。
海へ落ちていく刹那、微笑んでいた私の顔とは対照的に奏太の顔は悲痛に歪んでいた。
(セリーーーーっ!)
咲夜は私の服をクチバシで必死に引っ張り、奏太に届けようとしている。
だけど、海水をふんだんに吸った巫女装束は考えるよりもずっと重い。
「待ってろ、今助けるっ!」
上に着ているものを脱ぐと、奏太は勢いよく海に飛び込んだが、突然荒くなった波に押し戻されている。
(んーーーっ!んーーーっ!)
そして、諦めようとしない咲夜に更に追い討ちをかけることが起こる。
信じられないことに、海は私を中心に渦を巻き、その体を飲み込もうとしていた。
(んーーーー!!何だよ何だよっ!こんなこと……)
渦はどんどん大きくなって、神船を弾き出すと、目当てのものだけを飲み込むようにその中心へと勢いを変え始める。
遠くで奏太が手を伸ばしているのが見え、咲夜の姿は荒波に掻き消され見えない。
揺らめく波に飲み込まれて、次第に息が苦しくなる。
渦の柱の奥で大きく黒い物が見ていた気がしたけど、それも意識の彼方に消えた。
舳先の先端に傾いた体は、勢いよく鈴を振った瞬間、大きく傾き前のめりになる。
(セリっ!?)
「セリ!!ダメだ!」
視界は咲夜を捉え、海に傾いて行くに従って今度は奏太を捉えた。
奏太は必死で手を伸ばしている。
その顔を見て、私はなぜかとても嬉しくなった。
無くしたくない、と思ってくれていたのだと。
だけどね、このまま私がいなくなれば、奏太もこの島から……私から自由になれるんだよ。
海へ落ちていく刹那、微笑んでいた私の顔とは対照的に奏太の顔は悲痛に歪んでいた。
(セリーーーーっ!)
咲夜は私の服をクチバシで必死に引っ張り、奏太に届けようとしている。
だけど、海水をふんだんに吸った巫女装束は考えるよりもずっと重い。
「待ってろ、今助けるっ!」
上に着ているものを脱ぐと、奏太は勢いよく海に飛び込んだが、突然荒くなった波に押し戻されている。
(んーーーっ!んーーーっ!)
そして、諦めようとしない咲夜に更に追い討ちをかけることが起こる。
信じられないことに、海は私を中心に渦を巻き、その体を飲み込もうとしていた。
(んーーーー!!何だよ何だよっ!こんなこと……)
渦はどんどん大きくなって、神船を弾き出すと、目当てのものだけを飲み込むようにその中心へと勢いを変え始める。
遠くで奏太が手を伸ばしているのが見え、咲夜の姿は荒波に掻き消され見えない。
揺らめく波に飲み込まれて、次第に息が苦しくなる。
渦の柱の奥で大きく黒い物が見ていた気がしたけど、それも意識の彼方に消えた。