「Last note」特性を持つ者へ〜5
締め付けられた運転手は一瞬表情を変えたが、見えない力で弦を振り解いた。

「……ちっ!」

憂莉さんが舌打ちすると運転手がやっと口を開いた。

『……器ガ、欲シイ……。』

その声は人とは思えない、混沌とした悪魔のような声で呟くと、何かから解放されたように運転手はその場に崩れ落ちた。

「大丈夫ですか!?」

俺が運転手に駆けつけると、何事も無かったかのようにいびきをかいて眠っていた…。

「良かった、眠ってるだけみたい。」
「車内で寝かせてあげよう。」

俺と廣瀬で運転手をタクシーの後部座席に寝かせると、レナさんがそばに来た。

「もう憑き物も、いなくなったわ…。」

そう教えてくれたが、さっきのはまさか…?
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