「Last note」特性を持つ者へ〜5
「憂莉!大丈夫!?」

日芽さんが走ってきて、柵の向こう側からこっちの様子を覗きに来た。

「大丈夫、私はね。」
憂莉さんの赤く染まっていた瞳も、今は普通に戻っている。
俺は憂莉さんに礼を言うと、「健闘を祈る。」と言って日芽さんとまた教会へ戻って行った。

「強烈な耳鳴りやったな。」
「あぁ、耳が壊れそうだった。」

皆、口々に耳鳴りの酷さを話していたが…

「ねぇ私、耳鳴り聴いてない…。」

ゆめちゃんだけ、そんな事を口にしてその場に居た全員が彼女に注目した。

「……何でだろ?」

見た事ない困り顔をするゆめちゃん。
皆、言葉に詰まってるが…

「…普通の人間だからか?」

俺の中で"予言"の特性の存在が浮かんだ。
< 22 / 112 >

この作品をシェア

pagetop