【短】溶けた氷はただの水に変わるけど…
「…聖月?」

「ん?」

「…怒ってんの?」

「…なんで?」


少し不安そうな声色で私の頭の上から話し掛けてくる彼に、慌てて顔を上げるとそこには困ったような顔。


「そうじゃないんだなら、いーんだけど…」

「…ん?」

「や。なんでもない…」


なんとなく歯切れの悪い彼を不思議そうに見つめると、かしかしとまたくせ毛を掻いて、彼は自分の席へと向かってしまった。


それにちくん、と胸が痛む。


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