With You
そうなんだ―…



なんか聞いてると、謝らなきゃって思った。
たった…その時の出会いを彼はずっと忘れてなかったんだから。



だから真っ直ぐ彼の目を見て言った。




「あたし…本当ごめん。全然分かんなくてさっきまで『誰?』とか酷い事言って…」



言葉がだんだん弱くなって語尾も聞こえるのか分からなくなる。罪悪感が押し寄せる。


目を伏せがちだったけどちょっと見上げてみるとやっぱり優しい顔があった。



手を伸ばして、あたしの髪をくしゃくしゃしてポンポンと優しく叩く。



本当はいい人なのかもしれない―。


この日から彼の印象が大きく変化した。
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