背中に、羽を。
「君は、自ら命を絶とうとしている。
だけど、つまりそれは……自ら絶たなきゃ死なないってことなんだよ。
まだ、死ぬべきじゃ……」
ないんだよ、と、天使が言った気がした。
「いやだ、いやだ!
聞きたくない!!」
僕は耳を押さえ、頭をぶんぶんと左右に揺らす。
「僕は死ななきゃいけないんだ!
みんな、入院費を払うことにうんざりしてる!
希望を失って、笑顔も明るみも消してしまった僕の相手なんて、とっくのとうにいやがってる!」
吐き捨てるように叫ぶと、天使は目をふせた。
膨らみ始めた花のつぼみが、強風にやられて、遠い遠いところに飛ばされてしまったかのように。