背中に、羽を。
「他には?」
「悪魔は……どれだけ、死ぬひとを絶望させるかによって変わるんだ。この世界でいうお給料が」
どういうことだろう、と気になって、ベッドの上に座っていた僕は身を乗り出した。
窓辺に座っている天使に顔を近づける。
「気になるの?悪魔の仕事」
うなずくと、「じゃあ教えるね」と言ってくれた。天使はどこまでも優しい。
「悪魔は、死ぬひとを大きく絶望させるんだ。
たとえば、幸せが10のひとを、幸せが1になるまで悲しくさせるのと、幸せが30のひとを幸せが1になるまで悲しくさせるのだったら、30から1にする方が絶望させてるでしょ?」
うん、と相づちをうつ。