turning




「私、あれが初めてだったんだけど」

「僕も」

「で、逃げたと」

「……ごめん。僕、三日月さんのこと、好きだったんだ」

彼はさっき、空の三日月が好き、って言ったのと同じ、やわらかな口調で言った。

「師匠からプロになるまで恋愛禁止を言い渡されていたから何もできなかったけど。

せっかくプロになることが決まって恋愛解禁になった時には卒業だし、そこで告白しても三日月さんには避けられてるのわかってたし、もう会えなくなると思ったら、つい……。
若気の至りとしかいいようがないけど……。

本当にすみませんでした。今殴ってもらって構いません」

「もういいよ。別に怒ってない。
遅くなるといけないから、目的地教えて」

ナビに上条君が告げた住所を入力し、車を発進させた。



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