turning
ホールのホワイエ、大きなガラス窓の前に対談場所がセッティングされている。
漆原と私は壁際で開始を待っている。
視線の先には、カメラマンに服装や髪型を整えてもらっているスーツ姿の上条君。
「あまり会いたくなかった感じ?」
漆原の問いに、仕方なく返事をする。
「……別に、気づかれないならそれで構わなかったんです」
「ふぅん。どうりで様子がおかしかったわけだ」
……意外なような、そうでないような。
漆原が結構繊細に人を観察しているのは知っていた。
でも、それが私に向けられ、個人的な話をしたのは初めてだったのだ。
「さて、そろそろかな。こいつのこと頼むわ」
彼は背負っていたヴァイオリンケースを降ろし、私に寄越した。
慎重に、しっかりと受け止る。
中身は某財団から貸与されているストラディバリウスだからだ。
「行ってらっしゃい」
漆原と私は壁際で開始を待っている。
視線の先には、カメラマンに服装や髪型を整えてもらっているスーツ姿の上条君。
「あまり会いたくなかった感じ?」
漆原の問いに、仕方なく返事をする。
「……別に、気づかれないならそれで構わなかったんです」
「ふぅん。どうりで様子がおかしかったわけだ」
……意外なような、そうでないような。
漆原が結構繊細に人を観察しているのは知っていた。
でも、それが私に向けられ、個人的な話をしたのは初めてだったのだ。
「さて、そろそろかな。こいつのこと頼むわ」
彼は背負っていたヴァイオリンケースを降ろし、私に寄越した。
慎重に、しっかりと受け止る。
中身は某財団から貸与されているストラディバリウスだからだ。
「行ってらっしゃい」