SHALIMAR -愛の殿堂-


「ねぇ君も素麺食べてかない?」と由紀恵さんは食材の詰まったビニールをかざし


「いや、いいス。二人のお邪魔虫だし」


とお断りしたが


「何で?食ってけば?今日は流し素麺パーティーだから」


と、こっちもマイペースなタケがあっさり。


お前、大好きな由紀恵さんと二人きりになりたいと思わないわけ??


「ねぇ君は薬味は生姜派、ミョウガ派?生姜派に一票入れてよね」


と由紀恵さんは俺にこそっ。


何だよその派閥は。しかも競ってどうなるんだよ。


でも俺は例え薬味はミョウガ派だったとしても全世界の女性に優しい男。


「生姜派でっす♪」


「ヤッター!」と一人楽しそうな由紀恵さん。


最初は冷たい美人な印象しかなかったけど、何だか変わってるし、しかも気取ってないし、変なキャピキャピ感もない。良い感じに大人で、頭が良くて、話上手で


いい女には違いない。


タケも何だかんだ楽しそうだし、今日はサキちゃんにフられたこと言うのやめよう。


「あれ?ビールたくさん。


もしかして失恋でもした?」


と、由紀恵さんが勝手に俺のコンビニで買ったビールたちを覗いてきて


前・言・撤・回!!


「タケ、この野郎!!お前のせいで俺はフられる羽目になったんだからなっ!!」


思わず涙目になると


「はぁ?意味わかねーよ」とタケは目をいからせる。代わりに由紀恵さんが


「何それ面白そ~♪お姉さんが話聞いてあげる。


今日はオールだね」




面白かないよ!!!




でも


それこそ千一夜ではないが、長い夜になりそうだ。


失恋が癒えるまで、しばらくお喋り相手が居てくれて


良かった。




~ HAPPY END?? ~



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