SHALIMAR -愛の殿堂-
「す、すみません!」
俺は慌てて謝った。何に対して??
覗きみたいなことをしてたことか?いや、覗きなんてしてないよ。何してるのかが気になったからだ。(←それを覗きと言う)
だけど彼女はそれに対して不信感を抱いた様子はなく、
クスっ
乾いた夜空に小さな声を漏らした。
「私が謝ってるの。もしかしたら煙かったのかなって」
「…い、いえ!大丈夫です!!」
慌てて手なんか振ってみる。見えやしないのに。
煙い??って何が…
こ、このあと何て言えばいいんだろう。
だぁ~~!俺!ほんと大学で何学んできたんだよ!!
「それじゃ」で終わったら、いつもと同じじゃん!
でもこれ以上会話を続ける意味なんてあるのだろうか。
俺たちは隣の部屋同士って言う共通点(?)しかないのに。
それに俺には到底手が出せそうにない、見るからに敷居の高そうな女なのに。
なんて考えていると、
「こないだは引越しのお菓子ありがとう。ちゃんと挨拶しようとしてチェーンを外したら居なかったらびっくりした」
彼女は軽いリズムでそう笑った。