SHALIMAR -愛の殿堂-
それから三日後―――
俺はまたも彼女がベランダに出るのを見計らって、さりげない仕草でベランダの壁を叩いた。
三日間悩んだ。
もしかしたらその前に、にこにこマートで会うかも、なんて思ったがそれはなかった。
そう偶然てのは重ならないんだな。ってか俺が運命の女神に見放されてる??
何せふつ~の男だからな。
って…全て運任せじゃ何もはじまらない。
行動あるのみ!だ。
だがしかし…
次の日すぐってのは何かがっついてる感じがするかな~って思ったし、かと言って開きすぎるのも悪い気がした。
次に会ったら何を話そう。あれこれ会話をシュミレーションしながら。
俺はさりげな~く、吉住に女のひとが好みそうな会話のネタを聞いてみた。
授業でも教えてくれない。「女の人と会話が楽しく弾む方法!」なんて。
ここは吉住先生を頼るしかない。
「何だよ、気になる女でもできのたか~??は!もしかして“美しい隣人”それかアイスクイーン!?」
女並みに勘が良いぜ。どっちも当たってる。
「いきなりまた難しいとこ行くな~。だって仲間 由紀恵だぜ??美しすぎるぜ」
吉住…どんだけ仲間 由紀恵が好きなんだよ。
てか似てないし。
俺は相手が隣人で、しかも例のアイスクイーンであることは伏せて、さりげな~く(…できたかな)を装って、それとなく聞き出してみた。
「褒めろ!とにかく褒めちぎれ!」
吉住のありがた~いアドバイスを元に、
「…こ、こんばんは」
「こんばんは」
今日も短い会話を繰り出す。