SHALIMAR -愛の殿堂-


次回に彼女とベランダで顔を合わせたのはそれから二日後。


「私が一番すきなのは赤ワイン」


あー、納得。爪もメガネのフレームも財布でさえも赤色だったから。


ってかワインて。やっぱ敷居が高いな。


「赤色が好きなんですか?」


「まぁね。ラッキーカラーなのかな。キミは?見た感じ大学生だよね。お酒は?好き?」


そう聞かれて


「大学生です。ビールぐらいならイケます」俺は何とか答えた。


大人の女とこんな会話をするとは思ってもなかったから、もっと酒のことを勉強しておけば良かった!


そんな風に後悔するも、


「飲みすぎ注意。まあでも若い頃はあるよね。飲み過ぎたり。私も…」


言いかけて、彼女はバニラの吐息を吐き、それが俺の元に届いた頃、


「この話しはまた今度」


私も…何!?何があったの!


気になったが、彼女は俺を放置してカラカラとまたもベランダの扉を開いて中に入ってしまった。




そんな夜が一ヶ月ほど続いた。


毎日ってわけじゃないけど。


雨が降ったり、俺の帰りや彼女の帰りが遅かったりでタイミングが合わなかったり。


最初の方日付が開くと、弄ばれてるだけかな、からかってるのかな…


とか色々勘ぐったが、彼女は


「また次に」


と言う言葉を必ず守ってくれた。




必ず前回の喋った内容の話しをしてくれるのだ。





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