SHALIMAR -愛の殿堂-
無造作に束ねた髪の一部がほつれ、風に髪がなびく。
その瞬間、いつもの葉巻の香りではない―――あの部屋から漂ってくるちょっとお香のような上品な香りがふわりと香ってきた。
ドキリと胸が高鳴る。
彼氏―――居てもおかしくないよな……
やっぱ俺には敷居が高すぎる?無理かな…
と一瞬くじけそうになったが、彼氏が居るかどうか知る前に諦めるなんてダメだ!
諦めるなんていつでもできる。
やりきってからだ。
「あ、あの!彼氏は居ますか!?」
――――
――
「お前、それ直球で聞いたのか!?」
次の日俺は例のごとく吉住と学食で昼飯を食いながら、結果報告。
吉住は牛丼を食っていた手を休めると、目を丸めて俺に問いかけてきた。
「幾らなんでも直球過ぎだって…そりゃ、俺が彼氏の有無を聞けっていったけどさぁ」
「…ほかにどうゆう聞き方があるんだよ」
恋愛ビギナーな俺にはそんな高度な技を使えねんだよ。
「色々あるだろ。週末は何してる~?とかよ。会話に探りいれて考えるんだよ」
会話に探りとか…俺にはハイレベル過ぎる。
だけど
「んで?答えは??居るの?居ないの?♪」
吉住は楽しそうに聞いてくる。
やっぱ気になってんじゃん。