SHALIMAR -愛の殿堂-
―――昨夜の話し。
「彼氏?…また何で…」
さすがの彼女も、俺の質問にちょっといぶかしむ様に声を低めた。
「あ!いえっ!!お、俺が!!…」
俺が何なんだよ。俺があなたを好きだから気になるって言うのかよ。
俺は内心焦りまくりであたふた。
額に冷や汗なんてかいて、どう切りかえそうかあれこれ考えていると、
「居たけど、別れた。もう半年ぐらい?ちょうど元旦に」
彼女は例のごとくバニラの息を吐きながら、そっけなく言った。
乾いた――声だった。
ベランダから身を乗り出していた俺は彼女の横顔を見た。
白い肌にそばかすが散った、その横顔―――…
整ったその横顔からは何の感情も読み取れなかった。
何て答えればいいのか分からなかった。