SHALIMAR -愛の殿堂-
十年間……長いな…
十年前って言うと俺がまだ十歳の頃だ。その頃から彼女はその男と付き合ってたワケだ。
「…俺は…彼女居ないっス」
「彼女居ない歴どれぐらい?」
「へ?」
「私が答えたんだから、答えるべきでしょう?」
いや…どれぐらい居ないか、なんて俺質問してないし。
って思ったケド、
「彼女居ない歴=年齢。今年で二十年っス」
俺はヤケクソ気味で答えた。
ここで嘘ついてもしょうがないし。って言うかはぐらかして、話が途切れちゃうのはもっとイヤだったし。
心理学で学んだ。好意を寄せている相手には自分の素直な一面を見せること。
相手に信頼されたい、受け入れられたいのなら、まず自分が心を開くこと。
その言葉を思い出したが。
ドン引きされたかな??
と急に不安。
「二十歳。若いと思ってたけど、ホントに若かったね」
彼女は違うところに食いついてきた。
「え?引かないんスか?俺一度も付き合ったことないんですよ?」
「別に。たまたまいい出会いがなかっただけでしょ。いいな~若くて。ピチピチじゃん」
彼女は羨ましそうにちょっと笑って、
てかピチピチってね……
俺も何だか笑い出しそうになった。