SHALIMAR -愛の殿堂-
―――
――
「て言うワケ」
俺が昨夜のことを吉住に説明すると、
「お前嫌われたんジャン?」
と吉住は他人事のように言って牛丼の箸を再び動かす。
やっぱり―――…嫌われたのかな…
そんな様子じゃなかったけど、でもやっぱりそうゆう話題を持ち出されたことに不快感を覚えたのかも。
彼女の中ではもう終わらせた出来事で、あえて蒸し返すようなことを聞かれたくなかったのかも。
俺は俯いて麻婆丼の蓮華を口に運んだ。
学食の麻婆豆腐は彼女の作ってくれた麻婆豆腐の味とは全然違って、水っぽいし辛さが足りないし、味に深みはないし…
とにかく、全然違った。
彼女がしつこく言っていたタッパーはまだ返してない。
あまりの落ち込みように、吉住が
「あー…まぁ、俺も悪かったよ。お前にもっと細かくアドバイスすべきだった。
ってか、まぁ嫌われたかどうかなんてまだわかんないじゃん」
お前…さっき嫌われたんじゃん?とか言ってなかったっけ??
俺が呆れたようにじとー…と吉住を見ていると、
「タケ!恋愛はゲームだ!押して引いてのやり取りだ!」
吉住は突然言い出した。
「はぁ?」
「お前、押し過ぎたんだ!最近は草食系男子が流行ってる時代だからなっ。
あんまガツガツ行って、ちょっと引かれただけだよ。
しばらく大人しくしてりゃ、またそのうち向こうから何かしてくるって」
草食系―――…
ガツガツ…ねぇ。
「って言うかお前が言うな!全然説得力ないんだよ!」