SHALIMAR -愛の殿堂-
弁当シェアしよう。
まぁしかし吉住の言う言葉は一理ある。
少し様子見るか―――…
少し――
のつもりだったけど、三日経っても例の如くベランダで話すことができずに、俺はモヤモヤと不安を抱えることになった。
ベランダで会話を交わすこともできないし、それどころか帰ってきた気配もない。
何故分かるかって??
隣のドアを開け閉めする音はもちろん、一切の物音が聞こえないからだよ。
てか俺、ヤバくね!?
聞き耳立てて、変質者まっしぐらじゃねぇかよ!
頭を冷やさなきゃ。
心を落ち着かせなきゃ―――
そう考えるも、頭の中を過ぎるのは彼女の声や顔―――
そして鼻の奥をくすぐるのは、あのどこかエキゾチックな大人の香り。
「お先失礼しまーす」
俺はその日23時にバイトを終えた。
俺と入れ違いにラストまで吉住がレジに入る。
「お疲れ。元気だせよ」
なんて気遣ってはくれるが、
「由紀恵さんはいきなりハイレベル過ぎだって。今度合コン企画するから」
と、ありがた迷惑発言。
合コンなんて行く気がしない。
やっぱ俺なんか最初から
彼女みたいな大人の女は無理だったのだろうか。