SHALIMAR -愛の殿堂-
『穴があったら入りたい』とはこのことを言うんだろうな。
って言うか誰か掘るもの(スコップでも熊手でもなんでもいい!)貸してくれ!!
今すぐ自分で穴を掘って埋まりたい!!
顔から火を噴きそうになって慌てて俯くと、
「嬉しいこと言ってくれるね。そんなこと言われたの何年ぶりかな」
と、彼女はそれほど気にしてない様子でちょっと顔を綻ばせながら鮭弁当をかごに入れた。
あれ??もしかして冗談だと思われてる?
「あ、ねぇ。こっちの鯖味噌弁当も買って、二人で分けない?こないだ渡したタッパーに詰めてよ」
気にしてないどころか……マイペース過ぎだろ…
俺、かなり恥ずかしい言葉を口にしたんだぞ?
あっさりスルーしやがって。
しかも親しい友人ならともかく、隣人の若者に「分けない?」なんてこと言わないよな。
俺をまったく男扱いしてない証拠だ。
それでも、惚れた弱みっての??
きれいな顔して中身かなり庶民的で、だけどそれをちっとも飾らない彼女が
好き
「いいっスね。あ、でもそっちが魚だから違うのにして、から揚げ弁当とかは?」
俺の提案に
「ナイスアイデア♪そうしよ」
彼女はまたも微笑んでくれた。
それを見るだけで腹いっぱいになれるよ。