SHALIMAR -愛の殿堂-
悩み相談費、高いよ?
「こ、こないだはすみませんでした!俺のツレが…あ、あいつ吉住って言うんですけど、にこにこマートで働いてる」
「知ってるよ」
「あ、あいつなんかあなたに嫌われてるかも~って落ち込んでて…」
すまん、吉住。お前をネタにして。
今頃くしゃみでもしてるかな。
「嫌われてる?って言うかそもそもそんな親しくないし」
彼女はバニラの息を吐きながら、にこやかに笑った。
風に乗って届いた葉巻の香りが心地よく鼻腔をくすぐる。
顔を出してないから表情は分からないけど、でも不機嫌そうじゃなさそうだ。
「でも吉住は避けられてるって…」
「避けてるつもりはないけど。まぁしいて言うなら
私イケメンって苦手なの」
―――は??
「イケメンを前にすると震えちゃう。レジとかでもお金を出すとき小銭を出したりするのが何かイヤで、ついついお札を出してお釣りの小銭がいつの間にか溜まっちゃうとかね」
「はぁ……」
何となく…それは分かる気がするが。
俺もコンビニとかで可愛い子がレジだったりすると緊張するし。
…って言うことはだ。
「て言うことは、最初俺のレジに並んだのは」
しかもポイントカードも素早く提示してきたし。
「安全圏だと思ったから」
彼女はさも当たり前のように言ってカラカラと笑った。