SHALIMAR -愛の殿堂-
女!?
いやいや、二分の一の確率でそうじゃないか。人類には男と女の二種類の生き物しか存在しない。
ってか俺、心の中で思い切りバーチャルしてたじゃねぇか。
それなのに、いざ女だと分かると、やっぱりきんちょー
俺は女を前にすると急に喋れなくなるから。
「あ、あの!俺、隣に越してきたものです。挨拶に…」
慌てて言う言葉が引っくり返った。
落ち着け!人間は何よりも第一印象が大事だ!
自分に言い聞かせていると、
『…ああ、はい。少し待ってください』
スピーカーからはちょっとくぐもった声が聞こえ、その声が少しだけ鬱陶しそうに聞こえたのは気のせいか??
少しして
ガチャ
茶色い扉が外側に開いた。
うっすらと開いた扉の隙間から、ふんわり上品な香りが香ってくる。
その香りははじめて嗅ぐしっとりと落ち着いた、どこかお香を思わせる香りで、でもわずかにバニラのような甘い香りが混じっている。
不思議な―――香りだった。