SHALIMAR -愛の殿堂-
「お待たせしました」
うっすらと開いた扉から女が怪訝そうに顔を上げている。
白い大きめな白いシャツにジーンズ。化粧っけはなく、胸ほどまである長い髪も乱れている。白い頬にちらばったソバカスが印象的だった。
歳は―――二十代半ばと言った感じだろうか。
派手な感じはしないけど、どこかオーラがあるひとだった。
目には赤いフレームのメガネ。
その奥の僅かに釣りあがった目がしばしばとまばたいた。
ってか寝起き……?
にしちゃ随分遅い…
あの…今お昼の三時ですが…
そのツッコミはさておき、
「あの、これ…少しですが…」
おずおずと洋菓子の箱を突き出すと、
「ああ、どうも」
そっけなく言って扉と壁の間から女が箱を受け取った。箱を受け取るときにちらりと見えたその爪に暗めの赤いマニキュアがきれいにぬってあった。
赤いフレームのメガネと同じ色。
女は箱を受け取ると、扉の中へ手を引っ込め
バタン
俺の目の前で扉を閉めた。
ガチャガチャ
中から鍵を掛ける音がしてるし。
てか何!!?何だよ、その態度!!