人間消去アプリ
「い、いや……」


冷や汗を浮かべ、円歌から目をそらす。


おばあちゃんのことが嫌いだったから【人間消去アプリ】におばあちゃんの名前を入れた。


それはまるで、あんたは家族を裏切ったんだと言われたような気分がして、心に黒いなにかがたまっていく。


でも実際、そうかもしれない。


自分の家族のひとりを死に追い込んだのなら、私は家族を裏切ったと言える。


たとえ誰かが否定しても、私はそう思う。


チラッと円歌の顔を覗いてみた。


円歌は目を細めて、こちらをじっと見ている。


その視線にドキッとするが、円歌が目を細めていたのはほんの数秒だった。
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