人間消去アプリ
今まで会話に加わっていなかったすずねの問いに対して、あっさり答える円歌。


【山に遭難してクマに襲われて死ぬ】、か。


それが本当に【人間消去アプリ】内に載ってたとしたら、なんで円歌はそれを選んだんだろう。


「ねぇ、円歌」


「んー?」


「なんで、自分の両親を山に遭難させてクマに襲われるようにしたの?」


そう言う自分の声は、若干震えていた。


円歌が自分の両親を死なせたという事実を受け入れられないからなのか。


私の気持ちに気づくことなく、円歌はなぜか嬉しそうに言葉を返した。


「なんでって……そりゃあ、痛い目に遭ってもらいたかったから」
< 105 / 334 >

この作品をシェア

pagetop