人間消去アプリ
スマホから視線をあげ、ピタッと立ち止まるののか。


私に会いたくなかったとでも言うような表情をしている。


「ひさしぶり、ののか」


「ひ、ひさしぶりだね、広瀬さん……」


必死に笑顔を浮かべて、私に言葉を返す。


しかし、ののかの額に大粒の汗が浮かんでいる。


よほど私に会いたくなかったのだろう。


『仲よくなった覚えはないのに、どうして呼び捨てで呼ぶの?』


笑顔の裏にはそんな気持ちが隠れているような気がする。


たしかに、私とあんたが仲よくなった覚えはないよ。


だけど、あんたは私のことを散々バカにしてきたよね?
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