人間消去アプリ
心の中にイライラがたまってくる。


無意識に作っていた握り拳がぷるぷると震える。


その直後、ののかがこう言った。


「あはは、ごめんね、広瀬さん。


勝手に、話しかけてきちゃって」


本当よ、まったく。


話をしようと言ったわけじゃないのに、どうして話しかけてきたのよ。


「そろそろ学校に行かなくちゃ。


じゃあね、広瀬さん」


そう言って、ののかが私の横を通りすぎていく。


ののかのうしろ姿を、振り返って見てみる。


ののかは、今から長い階段を上ろうとしている。


落ちろ、落ちろ!


階段から落ちて死んでしまえ!
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