人間消去アプリ
視線をあげたとき、少しだけ後悔した。


だって、私の視界に映っている沙織の表情が切ないものだったから。


聞いてはいけない質問だったかもしれない。


心の中で慌てる私だけど、沙織が切ない表情をしていたのはほんの一瞬だった。


なにごともなかったかのように口角を上げ、私に微笑んだ。


「さっき理央ちゃんに見せたのは、【人間消去アプリ】の非公式のサイトだよ。


沙織、そのアプリ使ってないもん」


自分は【人間消去アプリ】のユーザーではない。


私にそう伝えたいのだろう。


そうか、沙織は【人間消去アプリ】のユーザーじゃないんだ。
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