人間消去アプリ
まだ【人間消去アプリ】に対しての恐怖が消えていないのだろう。


両腕をさすりながら心の中でそうつぶやく。


私と沙織の間には、なんとも言えない空気が流れている。


それを感じとったのか、沙織が表情を明るくして私の腕を軽く引っ張った。


「さ、さっき沙織が見せたものは気にしないで!


家に帰る前にクレープ食べにいこ!」


「ありがとう……」


それから私と沙織は寄り道をしてクレープ屋さんに行き、それぞれ食べたいクレープを食べた。


クレープ屋さんに入ってからの会話は、まるで【人間消去アプリ】のことを完全に忘れたような楽しいものだった。
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