人間消去アプリ
と、そのとき。


玄関のインターホンが鳴る音が聞こえてきて、肩を震わせた。


もしかして……すずね?


顔が強張り、体がガチガチになる。


今、お金を取りにきた?


いや、お金を取りにいくのは今日の放課後だと言っていた。


だけど、お金を渡す気持ちはさらさらない。


渡したくない。


心の中でそうつぶやく私をスルーして、リビングにいるお母さんが、玄関のドアを開けた。


なにか話し声が聞こえる。


お願い、すずねじゃありませんように。


私のそんな祈りが届いたのか、お母さんが私のいる部屋に向かってこう叫んだ。


「理央ー、沙織ちゃんが来たわよー」
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