人間消去アプリ
笑いたくなるのをおさえて、涙を手の甲でグイッとぬぐう。


顔をあげ、円歌の視線を正面から受け止める。


「……ビッグニュース?」


「うん。


理央が絶対びっくりする超ビッグなニュース」


「……教えて」


「うん、いいよ」


「…………」


「じつは……理央のお父さんとお母さんが、車にはねられて死んだんだ」


えっ……?


円歌……今、なんて言った?


「は……?」


「私、見ちゃったの。


理央のお父さんとお母さんが死ぬとこ」


死んだ……?


私のお父さんとお母さんが……?


「ねぇ……それ、本当?」


そう言う自分の声は、若干震えていた。
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