人間消去アプリ
「あの、菊池さん、担任の先生が呼んでるよ」


「えっ、もう私の番なの?


わかった、呼んでくれてありがと」


声をかけた子に微笑み、逃げるように教室を出ていった円歌。


わかりやすいな。


私のほうを見もせずに教室を出たということは、私に知らせたくないことがあるということなのだろう。


椅子に座り直し、数学の教科書とノートを机の上に置いた。


と、不意に、私の机の左端にスマホが置いてあることに気づいた。


誰のスマホだろう。


手に取り、画面を自分の顔に向けたと同時にホーム画面が現れた。


スマホをうつ伏せにさせたまま、誰かが電源を切り忘れたのだろう。
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