人間消去アプリ
背中に汗が流れるのを感じる。


ていうか、なんで沙織がこの駅に来るの?


沙織も円歌と同じく、この駅の利用者……?


なんて思った、そのとき。


「あっ!」


近くで沙織の声が聞こえた。


ドキッと心臓が大きく跳ねる。


まさか、ベンチに座っているのが私だってことに気づいた……?


額やこめかみからも汗が出てくる。


だが、沙織のものらしき足音が徐々に遠ざかっていくことに気づいた。


おそるおそると沙織の足音らしき音がしたほうに視線を向ける。


予想どおり、視線の先には沙織がいた。


でも、視界に映っているのは沙織だけではない。
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