人間消去アプリ
「おっはよ、円歌ちゃん!」


「……おはよう、沙織」


そう。


沙織だけでなく、円歌もいた。


円歌は、沙織の元気な挨拶に少し引いている。


頬がピクピクと引きつっている。


沙織に会いたくなかったのか。


それとも、沙織に挨拶されたくなかったのか。


いずれにしても、円歌が沙織のことを今でもよく思っていないことはたしかだ。


やっぱり素直だな、円歌。


頬を引きつらせている様子を、私に見られているとは思っていないだろう。


円歌の表情は、見えているよ。


ちゃーんとね。


円歌と沙織に気づかれないように、クスッと小さく笑った。
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