人間消去アプリ
小さく笑ったあと、顔を伏せた。


笑うのをやめ、口に拳を当てる。


さて、ここからどうしようかな。


今、円歌を殺したら、沙織に見られてしまう。


なんとかして円歌と沙織を引き離さないと。


私が心の中でぶつぶつとつぶやいていても、円歌と沙織の会話は続いた。


「沙織、ここでバッタリ会うなんて、はじめてだね」


「そうだね〜。


沙織も円歌ちゃんも、利用する駅は同じだけど、駅で会うことはなかったよね」


「……ねぇ、沙織」


「んー?」


「……数日前から、スマホが見つからないんだよね」


「本当?」


「ほ、本当だよ。


私が嘘言うわけないじゃん」
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