人間消去アプリ
よかった。


ほっと胸を撫でおろす。


本当は、私への疑いを全部消してほしいと思ったけど、追及されなくてよかったと思っておこう。


心の中の自分に、そう言い聞かせる。


その数秒後、円歌が「うっ」と声をあげた。


「円歌ちゃん、どうしたの?」


「急にお腹が痛くなってきた……」


「えぇっ、もうすぐ電車が来るよ!」


「今すぐにトイレに行きたい……。


沙織は先に電車に乗ってて」


お腹を両手でおさえ、顔だけ沙織に向ける円歌。


これは、円歌と沙織がひとりずつになる展開?


だったら、円歌を殺すチャンスだ!


ニヤリと笑い、円歌が階段を下りていく様子を目で追う。
< 237 / 334 >

この作品をシェア

pagetop