人間消去アプリ
ホームから円歌の姿がなくなり、沙織がひとり取り残された。


私は、沙織の横顔をじっと睨みつける。


顔の中にあるパーツが、すべて整っている。


だが、沙織のその整った顔が、今の私にはみにくく見えた。


私を疑い、怪しんでいるから。


と、ここであることを思いついた。


円歌を殺す前に、沙織を殺そうかな。


そうすれば、私を疑う人はいなくなる!


うん、沙織を殺そう!


首を上下に動かし、ゆっくり立ちあがる。


靴音が響かないように、そっと沙織のうしろへと歩み寄る。


しかし、私が沙織の真うしろに来る前に電車が到着し、沙織が車両の中に入った。
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