人間消去アプリ
心の中でそうつぶやいたそのとき。


『まもなく、電車が到着いたします。


お乗りになる方は、白線の内側までお下がりください』


次の電車が来ることを知らせるアナウンスが、駅のホーム内に流れた。


その数秒後、電車が視界に現れる。


「やっとで来た」


ため息混じりにボソッとつぶやく円歌。


そして、ベンチから立ちあがって、白線の内側まで歩み寄る。


私は円歌に気づかれないように、そっと円歌の真うしろまで歩く。


だんだん電車が近づいてくる。


電車のヘッドライトがまぶしく感じる。


顔をしかめながら、両手を胸の前に出す。
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