人間消去アプリ
電車のヘッドライトが近づいてくる。


私と円歌がいる場所まで5メートルになった。


ギュッと目をつぶり、両手を思いっきり前に押しだした。


両手に円歌の背中の感触が伝わってくる。


目をゆっくり開けると、円歌が前のめりの姿勢で線路へと落ちていくのが見えた。


円歌が勢いよくこちらに顔を向ける。


円歌の顔が見えたと同時に、私はニヤッと不敵な笑みを浮かべた。


円歌の顔色が驚愕に染まる。


突き落としたのが私だと気づいたのか。


でも、もう遅いよ。


あんたは、私に殺される運命なんだから。


心の中でクスッと笑ったとき、電車が円歌の体にドンッとぶつかった。
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