人間消去アプリ
そんなのは絶対に嫌だ。


園子の肩に手を置き、自分の体から園子の体を離した。


園子がぐちゃぐちゃな顔をこちらに向ける。


「他の人に抱きついてるところを見られたら、恥ずかしいでしょ。


私の家まで来てくれたなら、うちにあがってよ」


「えっ、いいの⁉︎」


「もちろん。


園子は私の友達だもん」


なんてね。


園子が私の友達なわけないじゃない。


あんたは私にとって、不要な存在だから。


あんたなんか、本当はいらないのにね。


なのに園子は、私の言葉を完全に信じて、手の甲で涙と鼻水をぬぐう。


涙はともかく、鼻水はティッシュでふいてよ。
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