人間消去アプリ
非常識なことするなぁ。


冷めた目で、涙と鼻水をぬぐっている園子をじっと見つめる。


その数秒後、園子が、涙と鼻水をぬぐった手で、私の手を握った。


うっ、気持ち悪い。


涙と鼻水をぬぐった手で、私の手に触らないで。


汚い……。


「ありがとう、理央!


じゃあ、お言葉に甘えて、あがらせてもらうね」


心の底から気持ち悪そうな顔をする私を見もせず、園子が玄関で靴を脱ぐ。


空気読めない女だな、園子。


私の気持ち、察してよ。


私から離れて、私の部屋がある2階へと向かっていく園子の背中を睨みつける。


そして、小さく舌打ちした。
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