人間消去アプリ
「……その噂、間違いなく本当だよ」


は?


私が作った嘘の話を本物だと言う気?


「え……ちょっと園子、どういうこと?」


カバンを机のフックにかけながら問いかけると、園子は目をそらしたまま、ボソッとつぶやいた。


「……今日の朝、ユキエが死んでるのを見ちゃったから」


「えっ、ユキエが?


どこでどんなふうに死んだの?」


なんだ、ユキエのことか。


ユキエなら、私が【人間消去アプリ】に名前を入力したから、死んで当然。


どんなふうに死んだのか、聞かなくてもわかる。


だけど、疑われたくないので、知らないフリをすることにした。
< 279 / 334 >

この作品をシェア

pagetop