人間消去アプリ
そんなものを沙織が持っているわけがないと思いながらも、そう尋ねる。


その直後、沙織が顔を上にあげて笑った。


「あははははは!


理央ちゃん、沙織を疑ってるの〜?」


沙織を疑ってるかって?


疑ってるよ、当然じゃん。


目に涙を浮かべておかしそうに笑う沙織に、さらに疑問を抱く。


「なんでそんなに笑ってるの?


おかしいことなんてひとつもなくない?」


「おかしいこと?


たとえば、なんで沙織が朔間高校の近くの歩道橋に来たのか、とか?」


「……っ!」


沙織は、私が抱いている大きな疑問をすでに見抜いていた。


「なんでか、教えてあげようか?」
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