人間消去アプリ
私が首を縦に振ってうなずくと、沙織がこちらに身を乗りだしてささやいた。


「誰を実験台にしたの?」


実験台……。


そう言われると、無意識に体が震える。


だが、それに気づかないフリをして答える。


「……私のおばあちゃんだよ」


「理央ちゃんのおばあちゃん?」


「うん。


おばあちゃんは私に毎日嫌味を言ってくるから、ストレスがたまっちゃって」


「そんなおばあちゃん、いるんだ……」


私から目をそらし、信じられないとでも言うような顔をする沙織。


沙織の家族に、私のおばあちゃんのように嫌味を言ってくる人がいないのだろう。
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