人間消去アプリ
だって、こんな会話が聞こえてきたから。


「そんなに震えて、どうしたの?」


「私、見たんだよね……」


「えっ、なにを?」


「今朝、登校したとき……誰かがトラックにひかれたところ」


「うわぁ、それ本当?」


「ほ、本当に決まってるじゃん。


わざわざ嘘つかないって」


顔を真っ青にして体を震わせる女子のひとり。


その子の姿を視界に認めるなり、私はその会話をしている女子グループに近づいた。


「あっ、おはよう、理央」


顔を真っ青にした子とは別の女子が、私に挨拶をしてくれた。


「おはよう。


今の話、詳しく聞かせてくれない?」
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