BLACK TRAP ~あの月に誓った日~
「執事かな、かっこいいー」
「それに可愛いし。『お嬢様』って呼ばれてみたい……!」
「いいよねー、尽くされたい」
執事姿があまりにも似合っていたせいか、女の子に囲まれている佐々木春馬。
その隙を逃さず、咲都も席を立ち、一緒にこの場から退散することにした。
「帰るぞ、七瀬」
痛いくらいに手首をつかまれ、引きずられる勢いで教室を出る。
扉が閉まる前、私のヘアメイクをしてくれたケイさんが、にこやかに手を振ってくれていた。
校舎の外で行われている縁日。
賑わう人達の中に、幼なじみのセイちゃんの姿を見かけた気がして首をかしげる。
桜花に誰か、知り合いがいたのかな。
もう一度ゆっくり話をしてみたい、とぼんやり思いながら桜花高校を後にした。