BLACK TRAP ~あの月に誓った日~
*
(あんなこと、しなければ良かった……)
2年の教室へ向かう廊下を歩きながら、最大級の後悔を含んだ溜め息をこぼす。
つい、勢いで藤川の頬にキスしてしまったけど。
藤川の耳が赤くなっていたのは『冗談のつもりだったのに恥ずかしいヤツ…』という赤面かもしれないし。
次に会ったとき、どんな顔をして会えばいいのか。
もし藤川に私の気持ちがバレていたら、と思うとゾッとする。
(絶対、勘づかれないようにしないと……!)
心の中で誓っていたら、美愛が「おはよー」と言いながら話しかけてきた。
「七瀬、ちょっと聞いて?」
「うん。何?」
この前の文化祭デートの話かな、と思い背筋を伸ばす。
「優希奈さんって、理希くんのお姉さんなんだって。血が半分繋がっているみたい」
「えっ、そうなの?」
「理希くんから直接聞いたとき、ホッとしちゃった。二人、すごく仲が良さそうに見えたから……」
確かに、桜花高の文化祭中、あの二人の仲の良さは友人以上のものだった。
窓辺で寄り添って、小野寺理希があの子の髪を撫でていたくらいだ。
(あんなこと、しなければ良かった……)
2年の教室へ向かう廊下を歩きながら、最大級の後悔を含んだ溜め息をこぼす。
つい、勢いで藤川の頬にキスしてしまったけど。
藤川の耳が赤くなっていたのは『冗談のつもりだったのに恥ずかしいヤツ…』という赤面かもしれないし。
次に会ったとき、どんな顔をして会えばいいのか。
もし藤川に私の気持ちがバレていたら、と思うとゾッとする。
(絶対、勘づかれないようにしないと……!)
心の中で誓っていたら、美愛が「おはよー」と言いながら話しかけてきた。
「七瀬、ちょっと聞いて?」
「うん。何?」
この前の文化祭デートの話かな、と思い背筋を伸ばす。
「優希奈さんって、理希くんのお姉さんなんだって。血が半分繋がっているみたい」
「えっ、そうなの?」
「理希くんから直接聞いたとき、ホッとしちゃった。二人、すごく仲が良さそうに見えたから……」
確かに、桜花高の文化祭中、あの二人の仲の良さは友人以上のものだった。
窓辺で寄り添って、小野寺理希があの子の髪を撫でていたくらいだ。