BLACK TRAP ~あの月に誓った日~
「これでも、中学に入ってからだいぶ変わったんだよ? 七瀬のこと守れるように、友達も増やして。強くなったつもり」

「そっか。……良かった」


安堵の笑みを見せると、セイちゃんも優しく笑ってくれる。


「あのさ。もっと、好きになってもいい? 七瀬のこと」

「え……」


昔、セイちゃんのことを好きだった記憶が甦り、懐かしく、いとおしい気持ちが溢れる。


……揺れている、かもしれない。

藤川への気持ちと、過去に好きだったセイちゃんへの気持ち。


「少しだけでいいから、俺のことも考えて欲しいんだ」

「……うん。わかった」


今となっては、小学生の頃の『好き』は憧れに近かったのだと思う。

恋というより、羨望。


何があっても泣かない。
彼の芯の強さに焦がれていた。

か弱く見えるのに、絶対に泣かないタイプだったと思い出す。

『コウ』達に悪口を言われても。蹴られても。

涙は見せなかった。
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