BLACK TRAP ~あの月に誓った日~
*
放課後。生徒会室を覗いてみると、窓際で頬杖をつき、物憂げに外を眺めている藤川がいた。
こちらには気づいている様子がなく。
その横顔がいつもの自信に満ちた表情とは違い、儚く見えた。
触れたら、あっさり消えてしまいそうな――。
私は知らず知らずのうちに、先日の気まずさも忘れて、彼のそばに近づいていた。
一瞬でも藤川を抱きしめてあげたい衝動に駆られ、慌ててその思いを打ち消す。
やっぱり。彼を目の前にすると、セイちゃんとは全然違う緊張感でいっぱいになる。
胸がきゅっと締めつけられるような感じ。
藤川ら私の存在に気づいた途端、いつもの鋭い目つきに戻り、取り繕うように立ち上がった。
「……何だよ、七瀬か」
「私で悪かったですね。妙にたそがれてる雰囲気だったから、どうかしたのかと思って」
わざと冷たく言うと、藤川は小さく笑って、また窓の外へ視線を落とした。
校庭には帰宅途中の生徒の姿がある。
その中には、以前藤川が教室で仲良く喋っていた女の先輩もまぎれていた。
放課後。生徒会室を覗いてみると、窓際で頬杖をつき、物憂げに外を眺めている藤川がいた。
こちらには気づいている様子がなく。
その横顔がいつもの自信に満ちた表情とは違い、儚く見えた。
触れたら、あっさり消えてしまいそうな――。
私は知らず知らずのうちに、先日の気まずさも忘れて、彼のそばに近づいていた。
一瞬でも藤川を抱きしめてあげたい衝動に駆られ、慌ててその思いを打ち消す。
やっぱり。彼を目の前にすると、セイちゃんとは全然違う緊張感でいっぱいになる。
胸がきゅっと締めつけられるような感じ。
藤川ら私の存在に気づいた途端、いつもの鋭い目つきに戻り、取り繕うように立ち上がった。
「……何だよ、七瀬か」
「私で悪かったですね。妙にたそがれてる雰囲気だったから、どうかしたのかと思って」
わざと冷たく言うと、藤川は小さく笑って、また窓の外へ視線を落とした。
校庭には帰宅途中の生徒の姿がある。
その中には、以前藤川が教室で仲良く喋っていた女の先輩もまぎれていた。