BLACK TRAP ~あの月に誓った日~
「生徒会室をイチャつきの場に使うなよー?」
呆れ混じりの冷たい視線を投げつけ、谷原先輩は棚からファイルを取り出し、机に広げ始める。
「す、すみません」
……やっぱり、見られてた? いつから?
我に返ると恥ずかしすぎて。顔中に熱が集まってくる。
気恥ずかしさに耐えられず、頭だけ下げて廊下へ出る。
あとから藤川もついてきた。
「七瀬。さっきのどういうこと?」
「……知らないっ」
思いきり顔をそむけ、足早に彼のそばから立ち去る。
靴を履き替え外にでたら、藤川が待ち受けていて、結局二人きりで帰ることになった。
「意外と積極的なんだなー、七瀬は」
薄く笑った藤川が並んだのは、私の肩に触れそうなほどの至近距離。
さっきの柔らかい感触を思い出してしまい、動揺が止まらない。
「違うのっ、セイちゃんと話せなくなったら困ると思ったから、」
「ふーん……あっそ。そんなにあいつが大事かよ」
つまらなそうに藤川が鼻を鳴らす。
「そろそろ俺に堕ちてくれたのかと思ったんだけどな」
「堕ちてません!」